富士通はブロックチェーン技術を活用し、グリーンスチールの環境価値をサプライチェーン上で循環させる調査事業を開始した。

富士通は14日、鉄鋼業界におけるグリーンスチールの価値循環の実現に向けた調査事業を開始したと公表した。

同調査事業は2025年12月から2026年2月まで実施されるものだ。

富士通は、経済産業省が公募した「鉄鋼材に紐づくグリーンスチール情報のサプライチェーン間伝達に関する調査事業」に2025年11月に採択されており、その一環として取り組む。

グリーンスチールは、製造過程における二酸化炭素(CO₂)排出量を従来より大幅に削減した鉄鋼材を指す。

今回の調査では、ブロックチェーン技術を活用し、環境価値情報の改ざん防止や信頼性確保を図る仕組みについて検証する。

ブロックチェーンで環境価値を証明

富士通は、ブロックチェーン技術やデータ流通基盤に関する知見を生かし、鉄鋼サプライチェーンが抱える課題解決に取り組む。

具体的には、同社の事業ブランドであるUvance(ユーバンス)の各種サービスを活用し、環境価値情報の安全な流通を目指す。

第三者認証を受けたCO₂削減証書などの環境価値情報を、改ざんや不正利用のリスクを抑えながら流通させる仕組みを構築する。

これにより、データの真正性を担保しつつ、企業間で機密性を確保した取引を可能にする。

暗号資産(仮想通貨)の基盤技術として知られるブロックチェーンは、近年、産業分野におけるデータ信頼性の向上手段としても注目されている。

鉄鋼業界では脱炭素化への対応が急務となっており、グリーンスチールの製造技術は確立されつつある。

一方で、その環境価値がサプライチェーンの下流まで十分に伝達・評価されていない点が課題となっている。

二重販売の防止と将来の展望

今回の実証では、環境価値の「唯一性の証明」や「二重販売の防止」を重点的に検証する。

商社などの中間流通を経た場合でも、環境価値が失われることなく維持・承継されるかが重要な検証項目となる。

具体的には、鉄鋼メーカーが発行した環境価値証書が、複製や改ざんを防止した状態でエンドユーザーまで届くかを確認する予定だ。

企業の環境対応が市場評価に影響を与える点では、ブロックチェーン技術を背景に注目を集める仮想通貨関連株と同様、環境価値の可視化が企業価値を左右する要素になりつつある。

富士通は複数の鉄鋼メーカーと連携し、こうしたデータ流通を支えるインフラ環境の構築を進めている。

同社は本調査を通じて、環境価値を循環させる仕組みの確立とともに、実務面での課題を整理する考えだ。

将来的には、2026年以降の本格的な情報循環システムの構築や、鉄鋼業界におけるデータスペースの発展も視野に入れている。